FM丹波 ギターの散歩道2026年11月放送分
11月プログラム 11月2日(火)~ 30日(月)
トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二
今月のテーマ「秋の夜長を楽しむ」
・ (月)「シューベルト作曲のセレナーデ」 (二重奏)
ギターの散歩道本日ご紹介する曲目は「シューベルト作曲のセレナーデ」です。今月は「秋の夜長を楽しむ」をテーマにお送りしています。芸術の秋、深まる秋、秋はつるべ落としと一瞬夕日が美しく見えすぐに薄暗くなり夜が長くなってきます。ふと感じる素敵な秋、それを誰かと共有し楽しみたいですね。
「シューベルト作曲セレナーデ」、フランツ・ペーター・シューベルトはオーストリアを代表する作曲家、1797年生まれ、1828年31歳の若さで亡くなるまでに600曲以上の歌曲を残し、「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」等の歌曲集があり、とりわけ「魔王」は古くから音楽の教科書で取り上げられておりご存じの方も多いと思います。ドイツの歌曲は「リート」と呼ばれ19世紀音楽における最も重要な様式のひとつでもあり、シューベルトによって開花し、シューマン、ブラームスが後に続き、古典派とロマン派の橋渡し役になっています。
「シューベルト作曲セレナーデ」この楽曲はシューベルトが亡くなった後に友人たちがまとめた遺作歌曲集「白鳥の歌」全14曲中の第4番目の歌です。「セレナーデ」とは日本語で「夜曲」「小夜曲」と言い、元々は夜に恋人の家の窓の下などで演奏する愛の歌を意味し、切ない恋心を悲しく歌い上げるメロディーが聴く人の心に響きます。
私もこの「セレナーデ」は思い出の1曲です。もう随分昔の話ですがまだギターを初めて日が経っていない頃、ドリマーズと言う女性だけの8名編成のプロのギターアンサンブルがあり地元福知山市民会館でイギリス公演の帰国記念演奏会がありました。母親と一緒に行き、初めて聞くプロの演奏家の音色に聞き入っていたのを覚えています。その何年後かには、私はドリマーズが母体となった東京新堀ギターアンサンブルに入団しこの「セレナーデ」を弾き感慨無量でした。
「シューベルト作曲セレナーデ」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。シューベルトは朝な夕なにギターを弾いたと言われ、このセレナーデもギターで作曲されました。曲調はニ短調で前奏があり曲の始まりから聞かせどころに至るまでは胸が締め付けられるような悲しいメロディーが響きますが揺れ動く恋心のように一末の明るさが見えたりもし、表情豊かに演奏していきます。
さあ、「シューベルト作曲セレナーデ」どうぞお楽しみ下さい。
・(火)「マヌエル・デ・ファリャ作曲バレエ組曲三角帽子より粉屋の踊り」 (高村浩二)
ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「マヌエル・デ・ファリャ作曲バレエ組曲三角帽子より粉屋の踊り」です。今月は「秋の夜長を楽しむ」をテーマお送りしています。辺りはすっかり秋の風景、つるべ落とし日没も早く、あっと言う間に暗くなり夜が長くなってきました。秋の夜長、読書をしたり好きな音楽を聴いたりと楽しみです。
「バレエ組曲三角帽子より粉屋の踊り」の作曲者、マヌエル・デ・ファリャはスペインを代表する作曲家の一人で今年2026年生誕150周年没後80年のアニバーサリーイヤの作曲家です。マヌエル・デ・ファリャの音楽はフランス印象派に学んだ語法とスペイン音楽が溶け合った色彩豊かなものです。ファリャの先輩であるアルベニスやグラナダスの音楽はスペイン的な要素が中心ですがファリャの音楽は印象派の要素が培った、フランス趣味のスペイン音楽とも言えるでしょう。
「バレエ組曲三角帽子より粉屋の踊り」は1917年ロシアのバレエ団から依頼を受けて作曲された、バレエ用管弦楽曲「三角帽子」。三角帽子とは代官が被っている3つの角が出た帽子の事です。「粉屋の踊り」は第2幕聖ヨハネ祭りの夜の場面で「村人たちの踊り」に続いて演じられ、水車小屋の美人女房に目を付けた悪代官、色々手は出すものの、村人からしてやられ、最後は粉屋の美人女房が、粉の入った袋を振り回して悪代官を追い払う場面の楽曲です。
バレエとしての初演は1919年7月ロンドンで行われ、舞台装置と衣装はなんとパブロ・ピカソが担当しています。
「マヌエル・デ・ファリャ作曲、バレエ音楽三角帽子より粉屋の踊り」今日の演奏は高村浩二先生です。ギターの散歩道、初登場です。編曲は世界的にご活躍中の荘村清志さん。ギターで弾いて大変効果的であり、オーケストラの総譜とピアノ譜を参考にして編曲をされています。冒頭からギター的な効果を狙った和声やファルッカ、フラメンコの2拍子の粘りのある歯切れ良いリズムでスペイン的な雰囲気を漂わせています。決め手はラスゲアード奏法。ラスゲアードとはスペイン語で「かき鳴らす」と言う意味で右手小指から順番に爪の表面を使ってかき鳴らしていきます。又途中、タンボーラと言う太鼓のような効果を出す奏法も出てきます。
「バレエ組曲三角帽子より粉屋の踊り」リズムを備えたフラメンコ舞曲元はスペインの北西、ガリシア地方の抒情的な民謡からきた、と言われていますが調整が短調で悲壮な感じの趣は実にアンダルシア風です。スペインの南、カディスで生まれたファリャにとって故郷のリズムを扱うのはお手の物、ギターやピアノに編曲しても味が消えないのはファリャの色彩感、音楽としての骨組みが確かである、と言う事でしょう。秋の夜長に、良い音楽と素敵な出会いを!
さあ、「マヌエル・デ・ファリャ作曲、バレエ音楽三角帽子より粉屋の踊り」どうぞお楽しみ下さい。
・(水) 「Fly me to the moon」と「星に願いを」(二重奏)
ギターの散歩道本日ご紹介する曲目は「Fly me to the moon」と「星に願いを」の2曲です。
今月は「秋の夜長を楽しむ」をテーマにお送りしています。深まりゆく秋、芸術の秋、と秋の日は釣瓶落とし、と一瞬夕陽が美しく見えすぐに薄暗くなり、夜が長くなってきます。
1曲目「fly me to the moon」日本語では「私を月に連れて行って」と言うタイトルになっています。1954年に、作詞家・作曲家のバート・ハワードによって制作されたもの、現在、よく耳にする「Fly Me to the Moon」1962年、作曲家・編曲家 のジョー・ハーネルが4⁄4拍子のボサノヴァ風に書き直したものが、よく知られているアレンジの一つとなっています。その後、1964年にフランク・シナトラがカバーして爆発的なヒットになりました。シナトラが歌った1960年代、アメリカはアポロ計画の真っ只中にあり、本当に月に連れて行って貰える?と非常に近くまで迫っている未来の出来事でした。シナトラ・バージョンの録音テープはアポロ10号・11号にも積み込まれて、人類が月に持ち込んだ最初の曲になっています。2曲目「星に願いを」「星に願いを」1940年にウオルトデズニーが制作した長編アニメ映画「ピノキオ」の主題歌。こおろぎの「ジミー・クリケット」を演じるクリフ・エドワーズが「星に願いをかければ、誰だって心の願いが何でもかなう」と歌い、オープニングと最後のシーンで流れます。「ミッキマウスマーチ」や「小さな世界」と並んでデズニーを象徴する代表曲となっています。「fly me to the moon」「星に願いを」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。
シンプルな素敵な曲ほど、どんなに時間(トキ)を経てもたまらない懐かしさと郷愁、切ないほどの思い出がふつふつとよみがえってきます。秋の夜長、もう一度その時代に思いを巡らせて今、生きている事を確かめるのも良いかと思います。
さあ、「fly me to the moon」「星に願いを」お楽しみ下さい。
・(木)「ヘンツェ作曲ノクターン」(足立ゆかり)
ギターの散歩道本日ご紹介する曲目は「ヘンツェ作曲ノクターン」です。今月は「秋の夜長を楽しむ」をテーマにお送りしています。日本には美しい四季があり、枕草子には春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて、とあるように季節ごとに変化する景色を楽しみ、感じる事が出来ます。とりわけ秋は夕暮れと、言われているようにつるべ落としの日没の中、夕日が美しく見え、その光の光景に見とれてしまいます。
「ノクターン」日本語では夜想曲、おおむね静かでロマンチックな「夜」をイメージし「夜の曲」とも言われています。ピアノの世界ではショパンやドビュッシーのノクターンが有名です。
「ノクターン」の作曲家、カール・ヘンッエは1872年生まれ。ドイツ、ベルリン出身のギタリスト、マンドリン奏者でもあり、私たちギターを弾く者にとっては「マヅルカ」や「緑の木陰」等中級者向けの曲が多く、お馴染みの作曲家です。「ノクターン」今日の演奏は私、足立ゆかりです。恩師、新堀寛己先生著書、新現代ギター教則本、中等科第7番目の練習曲として掲載されています。「ノクターン」私はギターを習いかけて3年目の発表会で初めて独奏で弾いた思い出の曲、とにかく間違わないようにとドキドキしながら必死に弾いていましたが、今になっても弾くたびにここで間違ったなぁ、なんて思い出してしまいます。「ノクターン」楽譜を見ると一見簡単そうに見えますが音符に託された何かを読み取るのが必要です。目標として、伴奏と旋律の引き分け、スタカートの練習、ロマンチックな曲の弾き方、アゴーギクの練習等、中でも表現方法の「アゴーギク」「ロマン」とは何か?を勉強するにはよい課題曲です。フェルナンド・ソル、マウロ・ジュリアーニ、マテオ・カルカッシ等の古典の曲を勉強し、次はロマンチックな表現に触れ、大きな音楽の歴史の流れを知る事が大切です。
ロマンとは個性に強く結びつきメロディの流れに重きをおき、決して数学的な音符の長さにはならないように気を付けながら心ゆくまで表現していきます。その表現の仕方にビブラート等の奏法やアッチェレランド、だんだん速くする、を使うとより一層効果的で、魅力ある曲に仕上がっていきます。
音楽には歴史があり学び方の順番をまちがえると上達が難しくなりますが、正しく学ぶとどんなジャンルの音楽も自力で魅力ある演奏が可能になってきます。秋の夜長、もう一度、基礎に戻り練習していくのも新な発見がありそうです。
「ノクターン」、さあ、どうぞお楽しみ下さい。
・(金)「フェルナンドソル作曲24の練習曲より作品35の22番」 (二重奏)
ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「フェルナンドソル作曲24の練習曲より作品35の22番」です。ギターの愛好家では通称「月光」と呼ばれている練習曲です。今月は「秋の夜長を楽しむ」をテーマにお送りしています。深まる秋、芸術の秋、秋はつるべ落としと一瞬夕日が美しく見えすぐに薄暗くなり夜が長くなってきます。ふと感じる素敵な秋、それを誰かと共有し楽しみたいですね。
「月光」作曲者のフェルナンド・ソルは1778年、スペインのバルセロナで生まれ、古典派を代表するギタリスト、作曲家として知られています。幼少の頃、バルセロナ近郊、黒いマリア像があるモンセラート修道院の聖歌隊にいました。現在も世界的レベルの美しい声の
「少年聖歌隊のミサ」が有名です。私もモンセラート修道院に行った時、日曜日お昼の、ミサの時間にタイミングよく大聖堂の中で少年聖歌隊を聞くことができました。パイプオルガンの伴奏と聖歌隊の天使のような歌声、一気に時が戻りソルも同じように歌っていたのかぁと思うとロマンでした。
「月光」この作品35-22の練習曲はギター中級者の必修科目とも言われ、ギターをやる人なら誰でも知っています。通称月光と言う題名の方が親しまれているのではないかなぁと思いますが、月光と言う呼び名はどうも日本だけのようです。ギターの世界でフェルナンド・ソルは“ギターのベートーヴェン”と言われて、諸説ありますがベートーヴェンのピアノソナタ第14番、通称“月光”のイメージを借りた、とも言われています。
「月光」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。中級者向けの独奏の練習曲として取り上げられる「月光」はセゴビア編のソルのエチュードでは第5番にあり、美しい旋律や和声の響きが人々の心を捉え、練習曲と言うよりも月の光と言う幻想的なイメージを抱いてしまいます。「月光」独奏で弾いても良し、二重奏でも良し、ショパンは1本のギターより美しいものが唯一ある、それは2本のギターだ、と言っています。今日は、藤井敬吾先生編曲二重奏版でお送りします。藤井敬吾先生曰くどちらのパートも独立させ、又2人が絡み合い素敵なハーモニーが出せる編曲にしています、とお話されていました。
秋の月夜は美しく、しばし夜空を見上げて思いをめぐらすのもいいものです。秋の夜長をお楽しみ下さい。
「月光」さあ、どうぞお楽しみ下さい。
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