FM丹波 ギターの散歩道2026年10月放送分

10月プログラム  10月1日(木)~ 30日(金)

トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二

今月のテーマ「秋を想う」

・ (月)「庭の千草」 (二重奏)

ギターの散歩道本日ご紹介する曲目はアイルランド民謡「庭の千草」です。
つい先日まで青々としていた山々ですが秋は駆け足でやってきました。標高2000メートルにある美ヶ原高原、目の前に広がるアルプスの稜線にかかる神秘的な雲海。見上げると澄んだ空気の中の青い空。青いキャンバスに描かれている白い雲が冷たい秋風によって刻々と形が変わっていくのがおもしろくてつい時間が経つのを忘れてしまい、秋の訪れを感じています。
「庭の千草」「TheLastRose of Summer」原タイトルは「夏の名残の薔薇」。1884年(明治17年)小学唱歌集の3に「菊」として掲載。日本語訳は(さとみただし)が歌詞をつけて、小学唱歌として日本では歌い継がれてきました。英語のもとの歌詞は「薔薇」、日本語の訳詞は「白菊」になっているのがいかにも文化の違いを感じます。唱歌を歌って、育った世代にとって、このメロディは馴染み深く、一時はすっかり日本の曲のようになっていた時代もありました。最近では学校で取り上げられなくなったので、知らない世代も増えてきたのは、残念なことです。どの国の民謡にもいえるように、何世代も歌い継がれたメロディは洗練されており、どこにも歌いづらさがなく、すなおに歌えば格調高い音楽となっていきます。NHKの朝ドラ「風薫る」のBGMとしても流れていたのが印象的です。「庭の千草」は又、ギターにとっても縁のある曲で、イタリアの作曲家、マウロ・ジュリーアニによってギターソロのためのバリーエーション6つのアイルランド民謡、作品125-2、として書かれています。
「庭の千草」今日の演奏は、魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。
編曲は先輩大谷環先生です。解説によりますとメロディはほとんどが順次進行でできていますが、ところどころに6度の跳躍があるところがミソ。この6度は俗に、ロマティック・シックス、と、呼ばれる、とても情緒深いジャンプになって、この曲を印象深いものにしています。ロマンティック・シックス、たとえば、「見上げてごらん夜の星を」などの最初を思い出してもらうと納得がいくと思います。一種の憧れのような感情が込められ、それを意識するだけでも、このメロディに命が吹き込まれると思います。そして、メロディのもう一つの特徴は初めにロマンティック、シックスが表れ、少しずつジグザグしながら、だんだん下降していく形でできています。ギターで弾く場合は少しポルタメントが許され、メロディの最高音と最低音の音程差が1オクターヴしかない、というのも驚きです。そしてこの編曲ではソの音、がないこと。日本のヨナ抜き音階に近いのも、このメロディに親近感を覚える原因かもしれません。と記載されています。大谷環先生は昨年、闘病の末残念ながら他界されました。大谷先生のコンサートに行くとプログラムに「生きているうちは輝いて下さい。決して思い悩んだりしないで下さい。人生は束の間だから、時がその終わりを求めているから」と、現存する最古の楽譜、セイキロスの墓碑銘の歌詞が書いてあったのを思い出しています。天国の大谷先生に届きますように。
「庭の千草」さあ、どうぞお楽しみ下さい。

・(火)「また君に恋してる」 (二重奏))

ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「また君に恋してる」です。
残暑も収まり秋への変化を感じる季節、真っ赤な彼岸花や金木犀の甘い香りと、ふと秋をみつけてほっとするひと時、懐かしい人を思い出し、しばし良い思い出に浸るのもいいのではないでしょうか?
「また君に恋してる」2007年に発売された兄弟2人組のフォークユニット、ビリーバンバンの名曲。2019年に結成50周年を迎え、「白いブランコ」や「さよならをするために」等のヒット曲があります。
「また君に恋してる」はコマーシャルで使われたり、又坂本冬美さんも歌われており、女心が胸に響いてくる甘く切ないメロディに心が響きます。「また君に恋してる」今日の演奏は、魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。編曲は佐藤弘和さん。2016年に他界されましたがギタリストでもあり、ギターの特徴を熟知されておられるだけに編曲も原曲の良さを失わず、又弾き手の個性を活かせる大変魅力的な編曲に仕上がっています。ギター奏法の1つであるハーモニックスが随所で使われており切ないメロディーと共に効果を発揮しています。
人恋しくなるこの季節、大切な人と素敵な時間を共有したいものです。
さあ、「また君に恋してる」どうぞお楽しみ下さい。

・(水) 「ショーロス第1番」(高村浩二)

ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目はエイトゥール・ビラ・ロボス作曲「ショーロNO1」です。
いつまでも暑さが続きましたが朝晩が急に涼しくなり、青空が広がり空に浮かぶ雲はすっかり秋の雲、日ごとに日差しがやわらぎ、やっと秋の訪れを感じる今日この頃です。暑くもなく寒くもなく過ごしやすい季節になってきましたね。
「ショーロス第1番」1887年生まれのブラジルの偉大な作曲家エイトル・ヴィラロボス、ヴィラロボスのギター曲の中でも特に有名な楽曲「ショーロス第1番」は1920年にリオデジャネイロで作曲されています。「ショーロ」とはブラジルのポピュラー音楽のスタイルの1つでもあり、ポルトガル語で「泣く」を意味しています。日本の演歌とよく似ている所もあり、親しみを感じます。
「ショーロス第1番」作曲者のヴィラ=ロボスは自己主張が強く「音楽は数学だ」と言い出し、周りの音楽家を慌てさせた。と言うエピソードがあります。でも、よく彼のギター曲の楽譜を見ると確かに数学的な所が多々あり、難しそうに見える楽譜も左右の指使いが同一であったりと、見かけよりは演奏がし易い仕組みになっていて、演奏者にとっては、大助かりです。「ショーロス第1番」今日の演奏は高村浩二先生です。うっそうとした熱帯雨林を一気に駆け抜けるような感じのこの楽曲、高村先生はこの「ショーロス第1番」を初めてステージで弾いたのは20代前半、1983年12月のキャンドルコンサートの時、いつもですが緊張してどう演奏したのかよく覚えていない、と言う事でした。この曲に限らずヴィラロボスの楽曲は演奏者によって、曲想、テンポ等許容範囲が広く、弾いていて面白い。反対にイメージや表現したい物がないとつまらない演奏になってしまう、とお話されていました。
「ショーロス第1番」どうぞお楽しみ下さい。

・(木)「DEJA-VU~遠い記憶」(二重奏)

ターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「デジャブ遠い記憶」です。日差しもやわらぎ、太陽の合間から見える秋の雲や、早朝のすがすがしさや夜風に吹かれる心地良さに秋の訪れを感じる今日この頃です。
DEJA-VU~遠い記憶、それは「実際は一度も体験したことがないのに、既にどこかで体験したことがあるように感じる現象、きっと誰にでもこのような経験はあるのではないでしょうか。
DEJA-VU「遠い記憶」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。作曲者リ・サファンさんの解説によりますとこの作品にはイントロは設けておらず、いきなり主題のメロディーから始まります。演奏者は、その世界観を演奏開始前より、心得ておかなければ、聴衆を自分達の世界へ引き込むことはできません。また、和声の目まぐるしい変化は、感情の微妙な変化や不安定さであり、両パートともに内面に秘めて演奏してください。と解説されています。世界最古の楽曲である紀元前2世紀頃に作られた「セイキロスの墓碑銘」には「生きている間は輝いて下さい。思い悩んだりは決してしないでください。人生はほんの束の間ですから、そして時はいつか終わりを求めてくるものですから」と言う心を揺さぶられる歌詞があります。時の流れの無情さは古今東西、時空を超えても変わらず、遠い時代の異国の文化に思いを馳せるのもいいのではないでしょうか?さあ「デジャブ遠い記憶」お楽しみ下さい。

・(金)「バルカローレ舟歌」 (高村浩二)

ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目はアレクサンドル・タンスマン作曲「バルカローレ舟歌」です。
心地よい秋風、青空が広がり真っ赤な彼岸花、いい香りの金木犀とすっかり秋の風景になってきました。地元のお店には大きな丹波栗や枝豆、今年収穫された新米も店先に並び、秋の実りに感謝です。
「バルカローレ、舟歌」の作曲者 アレクサンドル・タンスマンは1897年ポーランド、ウッチ生まれ。ポーランド音楽の感性を近代音楽に取り入れた、20世紀、ポーランドを代表する作曲家の一人です。しかし、1919年、ポーランドの政治不安もあり、拠点を音楽の中心地、パリへ移しています。当時パリでは、ラベルやプーランク等の6人組と言われる若手作曲家が活躍しており、タンスマンもラベルの知遇を得てそうした人々の仲間の一人となっています。又、日本にも関係が深く、1918年 大正7年には「8つの日本のうた」を作曲し、1933年(昭和8年)3月に来日し、タンスマン本人によるピアノ演奏会や、新興作曲家連盟主催の来日記念パーティでは、古関裕而さん他日本の音楽家と交流し、又宮城道雄さんの演奏を聞いたと記録に残されています。又今年8月にはタンスマンと同郷、ポーランド、ウッチから女流ギタリストズザンナ・グルネクさんが来福され、演奏を聞かせていただきました。プログラムはタンスマン作曲カバティーナ組曲はもちろんの事、ポーランド出身の若手現代の作曲家達の曲も披露され、洗練されたテクニックには圧巻でした。演奏会終了後にはあだちゆかりギター教室生徒さん達との合奏にも参加して頂き一緒にラ・クカラチャや春の喜びを演奏し、生徒さん達も大喜びでした。そして新堀ギターアンサンブルやダンロクもポーランドで演奏しギター合奏の人気があるそうです。
「バルカローレ舟歌」今日の演奏は高村浩二先生です。
1950年ギターの神様、スペインのアンドレス・セゴビアに献呈された、カバティーナ組曲は、前奏曲、サラバンド、スケルチーノ、バルカローレ舟歌、そして終曲には華麗な舞曲の5曲で構成され、タンスマンの代表作品として多くの人々に親しまれています。今日演奏します舟歌バルカローレは、メンデルスゾーンの無言歌集やショパンの舟歌のピアノ曲でも知られるように八分の六拍子でベネチアのゴンドラ漕ぎ歌としてゴンドラの揺れや櫂の動きを模したリズム、オスティナート、1つの波の終わりはもう一つの波の始まりと寄せては返すイメージの同じ音型で繰り返して演奏していきます。そして、ホ短調という調性で、ギターそのものが持つ魅力たっぷりの甘く切ない低い音域で、穏やかな夕暮れ時に愛おしい人を想う、と言うような雰囲気を表現し情緒を醸し出しています。イタリアをこよなく愛したタンスマン、とりわけベネチアは事あるごとくに訪れ、創作にも最適な場所であったようです。このような、知られざる名曲をこのギターの散歩道でどんどんご紹介していきたいと思います。
「バルカローレ舟歌」さあどうぞお楽しみ下さい。

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