FM丹波 ギターの散歩道2025年12月放送分
12月プログラム 12月1日(月)~ 30日(火)
トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二
今月は2025年ありがとう!この季節に聞きたい1曲をお送りしています。今月は何かと気ぜわしい時こそ、ほっとする楽曲で楽しんで頂きたいと思っています。暑い、暑いなぁと繰り返した日々から、まだそんなに時が経っていないのにもう雪の便りを聞くようになりました。師走に入りこれから気ぜわしくなってきますね。
・ (月)「聖母の御子」 (高村浩二)
「聖母の御子」スペイン東北部カタロニア地方の民謡集21曲の中からの1曲です。この民謡集21曲にはそれぞれ曲ごとに民話があり、古くから伝わる歌詞がついています。中でもこの「聖母の御子」は19世紀の終わり頃、バルセロナではクリスマスの時期になるとどの合唱団も「聖母の御子」を演奏する習慣があり、カタロニア地方では最もよく知られたクリスマスソングとなっています。原詩、元の歌詞を読んでみると、かあさまの坊やに何をあげよう。おいしいものを。干しブドウにイチジク、クルミにオリーブ、と言うような歌詞で、クリスマスの歌と言うよりも、身内のような親しさでマリアさまとその坊やに子守歌のように、呼び掛けているこの感じがスペイン的だと思います。
「聖母の御子」」今日の演奏は高村浩二先生です。クラシックギターのレパートリーとして欠かす事のできない「聖母の御子」ですが、ギター音楽の謎、としていくつかあります。1つはカタロニア民謡なのか?ガリシア民謡なのか?2つ目は編曲者はセゴビアなのか?リヨベートなのか?ギタリストの間ではしばし話題になる事があり、今日、お送りします高村先生の「聖母の御子」はリヨペート編です。
リヨペート編、セゴビア編どちらにしてもギターの曲の中でももっとも美しい響きであり、8分の6拍子の弾むような流れはシチリアーナを思わされ、明るく、ロマン派風の和声をつけることにより、一層優美な趣が出てきます。
「聖母の御子」私もスペインでホセルイス・ゴンサレス先生にレッスンを受けた事がありますが、和音を響かせる例えとして、深い湖の底が見えるような透明感のある音を重ねなさいと、言われたのを思い出します。そして、1980年に来日した巨匠アンドレス・セゴビアの演奏会、鳴りやまないアンコールの拍手にこたえて、最後はこの「聖母の御子」の演奏でした。それは、ちょうど寝付けないでいる子どもをあやすようなやさしさでした。
皆さんに良い音楽と素敵な出会いがありますように。
さあ、「聖母の御子」どうぞお楽しみ下さい。2025年ご視聴ありがとうございました。
・(火)「カバティーナ」 (二重奏)
ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は映画「ディアハンター」のテーマソング「カバティーナ」です。今月は2025年ありがとう!この時期に聴きたい1曲をお送りしています。
暑い!暑いなぁと繰り返した日々から、そんなに時間が経っていないのにもう雪の便りを聞くようになりました。師走に入りこれから気ぜわしくなってきますね。
リスナーの皆さんはどんな1年だったでしょうか?私は昨年あだちゆかりギター教室をスタートさせ40周年を迎え、今年は41年目に向けて更なる飛躍を!と活動してきました。新しい仲間も増えギターだけの合奏は70名編成になり、11月30日には70名編成でラバーズコンチェルト、春のよろこびを演奏しました。
今日は、私の元生徒さんからお便りをいただきましたのでご紹介しましょう。
「コンサートのお知らせをありがとうございました。ギター教室が順調に拡大充実している様子で心からお喜び申し上げます。私は早くからハーモニカやギター、バレーボール、バトミントン、柔道、囲碁、書道など思いつくまま色々と手を出してみましたがこれといって自慢できるものにはなりませんでした。ただ職業として第1級通信士の免許だけは必要、不可欠だったこともあり、今も形式的には頭に残っていますが。しかし振り返るまでもなく80余年の間に付き合っていただいた多くの人々のおかげで今の自分があるのだ、善きにしろ悪しきにしろ、天から与えられたものでうらむ筋合いではなく、感謝すべきものと思い納めよう考えている昨今です。それにしても昨年返納した免許、車の力は偉大ですね、何事をやろうとしてもまず移動するための手段を考えなければならないのですから。ご自愛の上、更に発展されますことを祈っております。くれぐれもけが等をされませんように。」
とお便りを頂いています。
「カバティーナ」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。今年2025年4月30日はベトナム戦争終戦50周年を迎え、この映画「ディアハンター」はベトナム戦争の悲惨さを描き、平凡に暮らしていたアメリカの若者たちが戦争によって人生をいかに狂わされたかを描いています。しかし、このメインテーマ「カバティナーナ」の甘く切ないメロディが一末の希望を与えてくれているように感じます。日本もこの夏戦後80年を迎え、どの時代になっても戦争のない平和な世界になる事を祈ります。
そして「カバティーナ」ギターの散歩道のテーマ曲にしています。「心の糧になる良い音楽を」このギターの散歩道の放送を通じて皆さんにお届けしていきたいと思っています。今年もご視聴ありがとうございました。さあ、どうぞお楽しみ下さい。。
・(水) 「クリスマスイブ」 (二重奏)
ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「クリスマスイブ」です。
山下達郎さん作詞作曲の「クリスマスイブ」、1983年に発売。一時、JRのコマーシャルで遠距離恋愛のカップルが新幹線でクリスマスに再会を果たす、と言うストーリーで、「クリスマス・エクスプレス」として、テレビで放映されると「クリスマスは恋人同士で過ごす」と話題になりました。今は携帯電話や動画配信等の発達で離れていても距離間は感じませんがまだ携帯電話も普及されていない時代では、逢えた時の嬉しさやぬくもりを五感で感じ達成感もありました。
今日はリスナーYさんよりリクエストとメッセージを頂いていますのでご紹介しましょう。
「12月になればよく耳にする山下達郎さんの「クリスマスイブ」、学生時代に流行っていました。メロディが軽快でいかにもクリスマスを楽しみに待っているような感じの曲、でも歌詞は「きっと君は来ない、ひとりきりのクリスマスイブ」クリスマスを一人で過ごすのか、寂しいなぁと思いつつ自分も一人でケーキを食べている学生時代でした。でも、何年か後にこの曲の歌詞の通り、雨は夜更け過ぎに雪に変わり、クリスマスは大雪で動けない状況でしたがきっと来ない君が現れてハッピーなクリスマスイブでした。今になっても忘れられないクリスマスのよい思い出として心に残っています。」
と、メッセージを頂いています。
「クリスマスイブ」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。編曲は私、足立ゆかりです。今回途中に「聖夜、きよしこの夜」を入れてみました。作詞ヨゼフ・モールさん、作曲グルーバさん、この聖夜は、ギターで初演されており、まつわる逸話があります。オーストリアのオーバンドルフと言う雪深い小さな町にある聖ニコラウス教会のオルガンがクリスマスの前の晩に壊れてしまい、クリスマスに間に合うようにと曲を作り、置いてあったギターで「聖夜」を歌ったそうです。「クリスマスイブ」どうぞお楽しみ下さい。
・(木)「戦場のメリークリスマス」(二重奏)
ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「戦場のメリークリスマス」です。
クリスマスが近づいてきたらどこからとなくよく耳にする「戦場のメリークリスマス」、1983年、日本、イギリス、オーストラリア、ニュージランドの合作映画。監督は大島渚監督。ストーリーは第2次世界大戦時のジャワ島。日本軍捕虜収容所での極限状況に置かれた、人々の心の動揺や矛盾を日本の軍人と、西洋人捕虜との両面から深く描かれたヒューマンドラマ。
原作は南アフリカの作家、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集に基づき 作者自身の
インドネシア、ジャワ島での、日本軍捕虜収容所体験を描いたもの。閉鎖的な空間で「男」が
心にかかえた矛盾や葛藤を描き、人と人を結びつける“友情を超えた恋愛”を題材にした作品です。劇中の描写では日本兵による捕虜に対する扱い、また異国での回想場面で描いたパブリックスクールの場面も登場し、異文化において、人間の暗い部分を比較させることで、よりテーマを明確にさせています。そして、キャストのデヴィッド・ボウイとビートたけしさんの異色共演は、今なお、観る者の心をとらえます。
音楽は坂本龍一さんが担当され、自ら作曲された「戦場のメリークリスマス」はこの映画を見ていない人でも映像に浮かんでくるような素晴らしい旋律です。「戦場のメリークリスマス」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。西洋音楽でも東洋音楽でもないエキゾティックな曲調で、イントロ部分の3連音符は特に印象的です。旋律はシンプルで1度聞いたら忘れられない位残り、伴奏はギターならではの色々なアルペジオ伴奏で変化を付けていきます。
2025年、日本は第2次世界大戦終戦80周年、ベトナム戦争終戦50周年であり、来年こそ世界が平和であることを祈ります。
さあ「戦場のメリークリスマス」どうぞお楽しみ下さい。
・(金)「主よ、人の望みの喜びよ」 (二重奏)
ギターの散歩道、本日ご紹介曲目するは、バッハ作曲「主よ、人の望みの喜びよ」です。
「主よ、人の望みの喜びよ」、音楽の父と言われたドイツのヨハン・セバスティアン・バッハの作曲。バロック音楽の重要な作曲家の一人でもあり、管弦楽、協奏曲、オルガン曲、教会カンタータ等多くの作品を残しています。生涯に作曲した数は1100の作品迄は分かっているものの、未だに数知れず、ドイツのバッハ研究所で現在も作品の整理が継続中だそうです。
「主よ、人の望みの喜びを」は1723年に作曲された、教会カンタータ第147番の讃美歌。
「心と口と行いと生活で」と言う10曲ある曲のラストを飾る感動的な1曲です。カンタータとは、礼拝の説教の前後に演奏される楽曲で、歌詞はその日に朗読される聖書などを説明するような文言が使われており、バッハはこのカンタータを200曲以上も作曲しています。
現在はピアノや管弦楽にも編曲され、結婚式やお祝いの席で演奏される事も多く、バッハの楽曲の中でも特に親しまれています。「主よ、人の望みの喜びを」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。クラシック音楽は「再生」と「伝承」と言われるように何百年も前の楽曲を演奏し後世に伝えていっています。「難しい、堅苦しい」と何となく敷居が高さそうに見えますが、一方でよく分からないけど聴いていると落ち着き、ゆったりとした気分になれると歓迎される方も多くあります。近年、医学の世界では音楽療法と言う分野があり、ストレスの解消、心理的障害の治療、癒し、そして認知症予防等、クラシック音楽が推奨され活用されています。中でも、この「主よ、人の望みの喜びを」のような穏やかな美しいメロディは落ち着きます。音楽は人の世になくてはならぬもの、なぐさめであり、奮い立たせてくれたり、昔の夢にも誘ってくれます。日々悩みのつきないこの世にあっては、いっときの安らぎです。さあ、「主よ、人の望みの喜びを」をどうぞお楽しみ下さい。
ギターの散歩道、今年もご視聴ありがとうございました。良い音楽と素敵な出会いがありますように。
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