FM丹波 ギターの散歩道2025年11月放送分
11月プログラム 11月4日(月)~ 28日(金)
トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二
今月は芸術の秋をテーマにお送りしています。深まる秋、芸術の秋、秋はつるべ落としと一瞬夕日が美しく見えすぐに薄暗くなり夜が長くなってきます。
暑くもない、寒くもない心地よい秋の夕暮れ、一瞬だけ夕日が美しくなるのが素敵です。
ふと感じる素敵な秋、それを誰かと共有し楽しみたいですね。
・ (月)「荒城の月」 (高村浩二)
「荒城の月」作詞は土井晩翠。作曲は滝廉太郎、1879年明治12年、東京に生まれ、23年の短い生涯でしたが、花、箱根八里等の多くの名曲を残し、又後の日本の音楽界の発展に大きな影響を与えています。この荒城の月は、滝廉太郎が富山で過ごした小学校時代、当時すでに本丸の高楼を残して外堀の埋め立てが始まった富山城の小学校に通い、剣の立山連峰を渡る月夜の雁を仰ぎ、又大分県竹田市の岡城では石垣のみとなった岡城を見て一人たたずんで思索したと言われています。作詞の土井晩翠とは、面識がないものそれぞれ時を超えて戦国と幕末、明治後期と同じ共通体験を得た事は奇跡的で、この荒城の月の共通の舞台のモデルは富山城であり、滝廉太郎の経験と土井晩翠の詩情とが一致し素晴らしい名曲が生まれました。
「荒城の月」今日の演奏は高村浩二先生です。編曲は高知を拠点にご活躍中の作曲家、ギタリストのリ・サフォンさん、松井孝之さんのペンネームです。ギターの特性を熟知し、又機能性を思う存分発揮されている楽曲は本来の曲の魅力を残しつつ神秘的、ミステリアスにも聞こえ大変魅力的に仕上がっています。私は今、福知山市内高台にある京都FM丹波のスタジオから明智光秀が築いたお城、福知山城を見ながら放送をしています。春には「荒城の月」1番の歌詞、春、こうろうの花の宴、とあるように桜や色とりどりの花が咲き誇り、華やかな福知山城になり、又秋には満月に照らし出され夜空に浮かぶような福知山城と、由良川にかかる音無瀬橋や明智藪と共に四季の変化を感じています。
・(火)「月の光」 (二重奏)
「月の光」近代フランスの天才と呼ばれたドビュッシーが青年期の1890年に作曲したピアノ曲集「ベルガマスク組曲」の第3曲目がこの「月の光」です。月あかりの下で美しさや静寂した空気感、月の怪しい魔力で人を惑わされるような冷たいドビュッシー独特の色彩感で表現されています。
ギターの最大の魅力、美しい音とは大きく分けて2つあります。1つはポツンと出しただけで美しい音。もう1つは美しい音がつながり美しく「うなり」を持って響く音。
音色の変化も使いながら、明るく光る高音域や、月あかりに照らされた海の波、銀色に反射して、きらめき、輝く情景を表現しています。この「月の光」はピアノ曲でもあり、今日演奏しますように二重奏で演奏する事で、独奏では無理が伴う所も二重奏によってこそ魅力的な演奏が可能になってきます。月の光のような神秘的な光景が自分の心のどこかに描いていたものとぴたりと合えばこの上ない幸せを感じる事でしょう。
・(水) 「秋の唄」 (足立ゆかり)
「秋の唄」作曲者はベルナール・ピリス。彼はフランス、マルセイユ国立音楽院で学び、国内外のフェスティバルやコンサートで演奏し、又作曲家としても活動中です。
今日は「秋の光景」とリスナーKさんからメッセージを頂いていますのでご紹介しましょう。
コロナも明け久しぶりに海外へ、パスポートも更新し行く前からワクワクドキドキ、チェックインしていざ搭乗口へ、両サイドには免税店、ブランド化粧品の甘い香水の匂い、何となく懐かしくもあり海外へいくなぁと改めて実感し、機上の人に。お天気は曇り、雨が降っていないだけましかと思い、窓から外を眺める。雲の中ばかり飛んでいたけれど急に辺りが明るくなり青空が広がり、今にも手が届きそうな綿菓子のような真っ白な雲が目の前に現れてびっくり、地上で見上げる雲もいいけれど見下ろす雲は久しぶりと、青い空と白い雲のコントラストに心が躍る。そして、降り立った異国の地で、大切な人と一緒に見る夕景は思いを巡らせながら茜色に染まった空を見て思わず胸が熱くなってしまった。心に刻み込まれるほどの夕景と巡りあえた事に幸せを感じた旅でした。
とメッセージを頂いています。いつもご視聴ありがとうございます。
「秋の唄」今日の演奏は私、足立ゆかりです。16小節の主題の後バリエーションが2パターンあります。単純な旋律ですが甘く切ないメロディー、1度聴いたら忘れられずついつい口ずさみたくなります。バリエーションの音型は単純ですがこれだけ発展していくのかと作曲者の意図に驚きます。楽譜は一見やさしそうに見えますがこれがくせものです。旋律と伴奏を見極めて弾いていくとおしゃれな感じが出てきます。
そしてこの「秋の唄」は2019年10月23日、第28回増井一友ギターコンサートの演奏会のアンコールで演奏された楽曲です。その日のプログラムはバッハのシャコンヌ、ソルのアンダンテラルゴ、そしてテデスコ、という大曲揃い、どの曲も増井先生の熱意がどんどんと伝わり引き込まれていった後のアンコール、この秋の唄です。食事で言えばフルコースを食べた後のさわやかなシャーベットのように感じました。いい曲だなぁと早速、増井先生に連絡し楽譜を頂いたような事ですが、「必ずステージで演奏する」と言う約束があり、今回、天国にいらっしゃる先生にも聞いていただこうと思っています。。
・(木)「3つの秋の小品から第3楽章センテナリオ通り」(二重奏)
マキシモ・デ・プジョールは1957年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ、 作曲家でもあり又ギタリストでもあります。タンゴの神様と言われる同じアルゼンチン生まれのピアソラのお弟子さんでピアソラの影響を大いに受け、初めて聞いた時、ピアソラそのまんまではないかなぁと思ったほどです。
この『3つの秋の小品』は、10年以上前に日本の有名なクラシックギター奏者、福田進一さんとアルゼンチンのギタリスト、エデュアルド・フェルナンデスさんのデュオアルバムのための委嘱作品です。この3つの秋の小品は3楽章の構成で、第1楽章「森林」第2楽章「木陰にて」第3楽章「センテナリオ通り」という副題がついています。今日お送りします第3楽章「センテナリオ通り」は夏の終わり、街路樹の木陰から、さあっと通り抜けるさわやかな秋の風と言うイメージの曲です。
今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかりと高村浩二でお送りします。
冒頭のアルペジオは風の精を呼び起こし、そして、「起きたよ」と言っているような低音のメロディで答えています。独特な不協和音にセンチメンタルなメロディとまさに秋にぴったりの楽曲かと思っていますが曲の難易度としてはかなり上級者向けです。でも弾けたらかっこいいし又達成感も大いにありますので是非ともチャレンジして下さい。
さあ、3つの秋の唄より第3楽章「センテナリオ通り」をお聞き下さい。
・(金)「枯葉」 (高村浩二)
「枯葉」フランスの女性シャンソン歌手ジュリエット・グレコが歌ったことで「枯葉」は世に知れわたり、1940年代末から1950年代にかけて広まって、シャンソン界のスタンダード曲となりました。日本では昭和20年代の後半、淡谷のり子さんや越路吹雪さんによって歌われ親しまれています。
今日は東京在住リスナートムさんからのリクエスト、「神宮外苑の杜」として秋の思い出のメッセージを頂いていますのでご紹介しましょう。
「神宮外苑の杜」故郷福知山を離れてもう半世紀以上経過しているが40年前位からゴルフの打ちっぱなしに神宮外苑に来ている。1度、春に来た時には外苑の植え込みの中から福知山と同じ匂いがしてきてびっくりした。あぁ福知山の春の匂いがする。その匂いは、「ヒサカキ」の匂いであると、後で知った。4月からゴールデンウイークにかけて福知山の山々に一斉にこのヒサカキの甘い匂いが立ち込めるのをご存知だろうか?そんな匂いの立ち込める里山に入ると高山植物に似た「しょうじょうばかま」の花が松林の中のあちこちに咲いていた姿を思い出す。今、「もう一度、あの匂いをかぎたい、しょうじょうばかまの花をみたい」と念願しているがこれが故郷の春の匂いなのだと、懐かしさは胸をかきむしる。だが、もちろん、故郷の秋の匂いは高校の正門そばにある金木犀の匂いだ。そして、神宮外苑でもう一つ忘れてはならないのが青山通りから映画館前までのイチョウ並木だ。神宮外苑の事を書く以上、このイチョウ並木の様子を見なきゃと、今日、雨の中を来た。地下鉄を降り地上に出ると小雨になり、なんとイチョウ並木の上に大きな虹ができていた。東京で虹を見たのは何回目か。神宮外苑は建物は変わろうとも東京の象徴である。平和な東京が続きサステナブルに残ってぜひまたこの辺りを歩きたい。と、メッセージを頂いています。いつもご視聴ありがとうございます。
「枯葉」今日の演奏は高村浩二先生です。演奏のポイントは映画の一コマ一コマがよみがえってくるような演奏を心がけましょう。
「枯葉」さあどうぞお楽しみ下さい
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